畳の裏返し・表替えの目安
新しい家の畳の部屋に入ってまず感じるのは、すがすがしい畳の香り。ところが、いざ生活が始まってしまえば畳の存在はすぐに 当たり前になって、部屋の掃除はするものの、畳の張り替えなど、ほとんどしないのではないでしょうか。 長く畳のある家に暮らしていても、張り替えのことなど考えた事も無いという方も多いのではないでしょうか。しかし、畳はあく まで消耗品です。古くなって汚れてきたり、傷んできたり、適切なお手入れを怠れば、害虫の発生など、健康への悪影響も考えら れます。適切な時期で畳の張り替えを行う事で、せっかくの畳を長く、健康的に、気持ち良くお使いいただけます。ぜひ、畳の張替えの種類と適切な時期をご参考下さい。
<裏返し:目安は、2~3 年>
畳表(表面の、い草のゴザの部分)を裏返しにして、今まで裏側だった新品部分を表に出すことです。縁(へり)の部分も新しくなります。新しい畳を使用してから2年~3年くらいが目安です。もっとも手軽な張り替えの方法で、使用頻度の高いお部屋におすすめです。
<表替え:目安は、5年>
新しい畳も5年ほど使用すると、表面が擦れてきて白っぽくなってきます。ひどい汚れや傷みは無くても、畳の光沢感がなくなってきたら、畳表を新しいものと取り替える「表替え」の時期です。畳床と呼ばれる畳の中心部分(芯)は再利用しますが、畳表と縁が新しくなるので、見た目は新品同様になります。い草の品質から使用されている量、織り方など、畳表の種類は高価なものから安いものまで様々です。縁との組み合わせを考えれば本当に無数のバリエーションが考えられます。お部屋の雰囲気もがらっと変わりますので、是非お気に入りの組み合わせを楽しんで決めてください。
<新畳:目安は15 年~>
15年も経つと、日焼けによる変色や傷みもかなりすすんでいるのではないでしょうか。畳がふわふわと柔らかい踏みごこちになってしまっていたり、畳と畳の間にすき間ができていたら、畳床という畳の芯の部分が劣化しています。畳の持つせっかくの良い機能が低下しており、健康にもよくありません。この場合には、新しい畳への取り替えが必要です。新しい畳を入れたら、普段からお手入れを行いましょう。適切なお手入れで畳の寿命を伸ばすことが、張り替えの手間や費用の節約になります。なお、古い畳は廃棄物になります。処分方法などは、お住まいの自治体や畳業者にお問い合わせください。
畳の表替えとは
畳の表側を張替える「表替え」
畳の張替えの方法には何種類かありますが、そのなかの「表替え」についてご説明します。
畳は、畳床という藁等で出来た厚さ5 センチほどの芯に、畳表というい草で編んだゴザを張り、縁を縫い付けて作られています。 「表替え」とは、中心の畳床はそのまま利用して、畳表を取り替え、新しい縁を付けて再び使えるようにする事を言います。畳も 長い間使用していると、日焼けによって変色したり、すり切れてきたり、汚れやシミがついてしまいます。畳の張り替えをするこ とによって、畳本来の色がよみがえり、お部屋全体が明るくなり、独特の畳の香りも復活します。
畳替えで取り替える畳表は、い草で作られています。このい草の香りにはリラックス効果に加え、気分を静める鎮静効果や、森林 浴効果があると言われています。畳の部屋に入ると何故か落ち着くのは、そのせいなんですね。また、私たち日本人が畳を使い始 めたのはなんと平安・室町時代。そんな昔から畳に慣れ親しんできていることも、「畳が落ちつく」原因かもしれません。畳を取 り替えたいと思ったとき、まずは、畳表を新しいものに取り替える「表替え」をおすすめします。
表替えの目安は、使用してから3年~5年と言われています。とはいえこれはあくまで目安で、最初に購入した畳が上質のもので したら10年くらい使用していて大丈夫な場合もあります。質のいい畳は値段も高くなりますが、それだけ耐久性も増しますので 長持ちします。ちなみに、一般的に良いと言われる畳表は、丈の長いい草が使われています。丈が長いと、質の良い真ん中の部分 を多く使うことができるので、畳の目を揃い、美しい仕上がりになります。質感や見た目も等級によってかなり違ってきますので、 畳を選ぶ際は、ぜひ実物をご覧になって決めることおすすめします。
また一方で、小さなお子さんがいたり、人の出入りが多いお部屋などでは、2 年ほどで張り替え時という場合もあります。そこで 例えば、最初から消耗が早いと分かっている部屋は安い畳を使っておいて、2年毎に張り替えるという工夫も出来ます。いつも新 しい畳の香りを楽しみたいという方は、こうした工夫で、定期的な張り替えをご検討下さい。畳の張り替えは、お部屋の印象を明 るくするだけでなく、住んでいる人の気分も一新します。家を建ててから、あるいは引越をしてからまだ表替えをしたことがない という方は、ぜひお試し下さい。
畳づくりのポイント『泥染め』
「泥染め」が、い草を強くする
「畳=い草」と言っても過言ではありません。い草は、大きく6 つの作業を経て畳表の材料になります。この6つの作業とは、「刈 り取り→泥染め→乾燥→収納と貯蔵→選別と製織→仕上げ」となっています。
二つ目の「泥染め」で驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、皆さんが普段目にする畳表のい草のあの色は、泥によって染められた色なんです。更に、泥染めがい草に与えている影響はそれだけではありません。
現在、国内の畳表生産の大部分は熊本県で行われています。一般的には、11 月頃に作付けを行い、7月頃に刈り取られます。この刈り取りは、早朝や夕方に行われます。それは、日中に刈り取りをすると、真夏の炎天下で、い草が急激な乾燥にさらられて、 本来の色が著しく劣化してしまうからです。そこで、強い日差しを避けることが大切なのです。そのため、「刈り取り」から「泥染め」 「乾燥」の作業は約一ヶ月、連日夜間に行わます。泥染めは、刈り取ったい草を乾燥から守るための古来からの知恵なのです。
この、泥染めの作業には、染土液と言われる液体が使われます。この染土液にい草全体を浸すことで、以下のような効果が得られます。
【輝き(光沢)】
輝きが均一になり、むらのない美しい色合いになります。
また、畳表として使用している最中に、偏った日焼けなどが起きるのを防止することができます。
【表面の保護・強度のアップ】
い草の表面に泥による皮膜が作られる事で、い草の茎そのものを保護して丈夫にしてくれます。
製造過程における型崩れを防ぐ事はもちろん、使用中の傷みを抑制してくれます。
【香り】
あの畳の独特の香りは、い草そのものの香りと、この泥染めの香りがが合わさって生まれます。あの、落ち着く香りは泥染めのおかげなのです。
【湿気を調整】
製造工程でい草の乾燥を防ぐ泥染めですが、この効果・役割は完成後も活かされます。泥が湿気を調整する機能を持っているので、畳の乾燥による劣化を防いでくれます。
い草と泥、不思議な組み合わせですが、そのおかげで、丈夫で良い香りのする、美しい畳が生まれたんです。
畳のQ&A(よくある質問)
畳が変色して、黄ばんでしまったら?
酢を使う方法があります。水3に対して酢1 の割合で混ぜたものをつけて雑巾を絞り、畳を拭いてください。長期間放っておいたものは手遅れの場合もありますが、「変色したな」と感じたときに対処すれば、少し色が戻ります。但し、新しい畳には行わないで下さい。返って変色させる可能性があります。また、基本的に畳は湿気を嫌いますので、雑巾はあくまで固く絞って下さい。
家具を置いていた場所が窪んで後が残ってしまいました。直せますか?
熱いお湯で絞った雑巾を家具の跡にのせてアイロンを掛け、その後風を当ててしっかり水分を乾かして下さい。いくらか改善すると思います。畳を長く綺麗に使っていただくためには、最初家具を置くときに、固くて薄い板などを下に敷いておくなどして、一カ所に重さが掛からないように工夫して下さい。跡がつきにくくなります。
畳の青さを長持ちさせたいのですが、絨毯などを敷いて使って良いでしょうか?
畳は呼吸しています。絨毯などを畳の上に敷いてしまうと、い草の呼吸をとめてしまうので、畳が返って早く傷んでしまいます。掃除も行き届かなくなってしまうので、ダニやカビの原因にもなります。せっかくの新しい畳の香りと感触です。上に何か敷いてしまったりせず、新しい畳の良さを存分に味わって下さい。畳は、清潔に保って使い込んでいただく事でツヤも出て、その良さが引き出されます。
畳にダニが!どうしたらいいですか?
畳干しをするとダニ退治ができます。年に1、2回行っていただくと効果的です。また、普段のお手入れとして、掃除機をこまめにかけてダニやダニのえさになるものを取り除いてください。それから、室内の換気をして湿気をこもらせないようにしましょう。それでも気になるようでしたら、畳屋さんに相談することをお勧めします。防虫加工の施された畳の利用や、防虫施工など、様々な角度から相談にものってもらえると思います。
近年畳が注目されています
今、畳が注目されている理由
畳の風合いは好きなんだけれど、「値段が高い」「手入れが面倒」「ダニやカビが発生して、それがアレルギーの原因になる」などと、マイナスイメージを持っている方も多いと思います。実際、今住んでいらっしゃるご自宅のお部屋のうち、畳の部屋と洋間(フローリング等の板の間やカーペット)のどちらが多いでしょうか?現在の住宅は洋間の方が圧倒的に多いのではないかと思います。中には、「我が家に畳の部屋は一つもない」とおっしゃる方もいらっしゃると思います。
フローリングのコストの安さや手入れの簡単さに対して、畳はかなわないと思われがちですが、最近の畳は以前と比べ、格段に進化しています。また、畳が以前から持っていた特徴・特性が、最近改めて見つめ直され、注目され始めているのです。フローリングにはない畳の特性や機能性をもっと理解し、畳の良さを知っていただければ、きっと畳のお部屋を気に入っていただけると思います。
畳の特徴、それは『断熱性』と『保湿性』です。畳の原料であるい草は、細い繊維植物です。また、畳の芯材の藁床は40センチほどの厚さの藁を5センチほどまでに圧縮して作られています。い草も藁も内部にたくさんの空気を含んでいるのです。皆さんご存知の通り、空気は熱を伝えにくい性質を持っています。そのおかげで畳の部屋は、夏は暑くなりすぎず、冬は冷たくなりすぎないという、快適な状態を作ることができるのです。
さらに、その内部に含まれている空気は湿度も調整します。畳は呼吸をしているのです。空気が乾燥していれば湿気を吐き出し、空気が湿っていれば、湿気を吸ってくれます。そのため、夏のジメジメや冬の乾燥を緩和してくれるのです。このような機能をもつ床材は他には思い当たりません。高温多湿という日本の風土の中で、長い年月を経て人々が知恵と工夫を凝らしてきた畳です。
私たちの暮らしに合った様々な機能を持っているのも当然と言えるかもしれません。
このように、夏の冷房・除湿を節約出来、冬の暖房・加湿を節約出来るという事は、大変に「エコ」な床材だと言えます。今の時代に合った、注目すべきポイントです。畳は、慣れてしまえばあまり注目もされず、重いものを置かれたり、踏まれたり、酷使されている存在です。自然の素材で作られたものだからこそ、どうしても定期的なメンテナンスや交換は必要です。しかし、そうした適切なお手入れを行えば、十分にその機能を発揮してくれます。「断熱性」や「保湿性」は環境にも優しく、人の健康にも優しい上に、光熱費の節約にもなります。こうしたメリットを考慮して、ぜひ畳の良さを見直して、和室生活を楽んでみませんか。
畳の寿命を延ばすには
畳床の交換の目安
畳は自然の素材で作られています。だからこそ、どうしても定期的なメンテナンスや交換は必要です。しかし、そうした適切なお手入れを行えば、長くきれいに使い続ける事が出来ます。それでもなお、なんにでも寿命はあります。今回は、畳の寿命についてご説明させていただけたらと思います。
畳にも寿命があります。しかし、畳が普通の消耗品と違うところは、普段のお手入れ次第で寿命が大きく変わるというところです。
畳のお手入れといえば、「裏返し」「表替え」「新畳」といった畳の張り替えですが、裏返しなら2~3年で、表替えなら4~5年、 畳床(畳の芯。ここが傷むと、畳は新調しなければなりません)は10年~15年が目安と言われています。
畳の寿命をのばすための日常のメンテナンスとしては、一つには「天日干し」が上げられます。半年に一度くらい、晴れた日に畳の裏側を4~5時間ほど太陽の日差しにあてて、布団を干すのと同じ要領で、叩いてホコリを取ります。天日干しで大切なポイントは、畳の表側の干し方にあります。畳表は陰干しにして下さい。畳表を日光に当ててしまうと日焼けをして、畳の光沢が失われ、変色を起こしてしまいます。一手間掛かりますが、表を干すときと裏を干すときは場所や時間を工夫して、それぞれ日光の当たる場、当たらない場所で干すようにして下さい。もし、家の外で干すのが難しい場合は、畳を少し上げて、床板と畳の間に台を置くなどして、畳の裏側に風が通るようにしてやるだけでも、湿気を逃がす効果が期待出来ます。畳の最大の敵は湿気です。畳を干して湿気を逃がすことで、畳自体の劣化を防げますし、アレルギーの原因であるカビやダニの退治や予防ができます。
こうしたメンテナンスを行えば、畳床の寿命を40年~50年も伸ばすことができると言われています。最初に、「普段のお手入 れ次第で寿命が大きく変わる」と言いましたが、一般的に10~15 年と言われる畳床が50 年使えるとすれば、本当に大きな差になってきます。メンテナンスをせずに10 年で畳床た傷んでしまうと、大事に50 年使っているお家と比べて5倍も畳を新調する必要があるという事です。
畳のメンテナンスの大切さはよくわかる。とはいえ、現実には、そう簡単に畳をメンテナンスし続けるのは大変かと思います。そこで、お手入れ以外のやり方で、畳の寿命を延ばす方法をお話しします。
それは、部屋の用途に合わせて適切な畳表を選ぶということです。たとえば、客間の畳の場合は厚みがあって目の詰まった上質の畳表を選びます。何故かというと、客間はどちらかというと消耗の少ないスペースで、居間のように毎日何度も人が出入りしたり、同じところに人が座り続けたり、食べ物をこぼしたり、汗がしみ込んだりすることが少ない部屋だと思います。でしたら、良質の畳表を使うことで、畳そのものが傷みにくいばかりでなく、日に当たって日焼けしたとしても、良質の畳ならではの奇麗な色に焼けていくため、見劣りがしません。返って、年数を経た畳の色は、和室に独特の風格を与えてくれます。これなら、この部屋の畳の張り替えは、通常の2~3年毎でなく、4 ~ 5 年毎にすることが出来ますし、畳自体の寿命ものばすことができるのです。
こうした工夫で畳床の寿命をのばし、長く気持ち良く畳をお使いいただければと思います。とはいえ、どんなに一生懸命お手入れをしても、畳の寿命には限りがあります。そのときはぜひ、畳の新調を楽しんで選んで下さい。その部屋のこれからの用途を想像しながら、畳表の種類や縁の柄を選ぶ作業は、きっと楽しい思い出になります。畳に愛着を感じていただければ、日常のメンテナ ンスさえも、楽しんでいただけるかと思います。
呼吸する畳
畳の特徴「保湿性」。部屋の湿度調整をしています。
日本の住まいに欠かせない畳。畳の優れた特性は数々ありますが、その一つに「保湿性」があります。湿度の調節機能をもつ畳は 夏の高温多湿に合った床材で、日本固有のものです。日本家屋は木造建築で、窓や障子、襖といった建具は、風の通りを重視して、 全て開け放しが出来る構造になっています。それは、夏の暑さをどうしのぐかという事を基本にして作られているからです。です から、木造の家と畳は、とても相性が良く、理にかなった組み合わせなのです。
畳の原料であるい草は、細い繊維植物です。まるでスポンジのような構造をしていて、その細い見た目とは異なり、意外に多くの 空気を含んでいます。また、畳の芯材の藁床は40センチほどの厚さの藁を5センチほどまでに圧縮して作られています。い草も 藁も内部にたくさんの空気を含んでいるのです。この内部に含まれている空気は湿度を調整します。畳は呼吸をしているのです。 空気が乾燥していれば湿気を吐き出し、空気が湿っていれば、湿気を吸ってくれます。そのため、夏のジメジメや冬の乾燥を緩和 してくれるのです。
また、この畳の呼吸は、空気をきれいする作用も持っています。空気清浄機のフィルターと同様に、湿気を吸い込むときに吸い込 んだ空気を繊維でこしとり、奇麗な空気を吐き出してくれています。
このような機能をもつ床材は他には思い当たりません。高温多湿という日本の風土の中で、長い年月を経て人々が知恵と工夫を凝 らしてきた畳です。私たちの暮らしに合った様々な機能を持っているのも当然と言えるかもしれません。
具体的な畳の性能ですが、その湿度調整能力は、なんと、畳1枚で500cc。小型のペットボトル一本分もの水分を吸収すると言 われています。6 帖間なら、3 リットルの水を吸収できるという事です。湿度が高いときには空気中の湿気を吸収し、吸収された 水分は、今度は部屋の空気が乾燥しているときに、部屋の空気を潤すために放出されます。畳は、自然の除湿器であり、加湿器で あると言えるのです。さらに畳は、二酸化窒素など、体に悪影響を与える有害物質まで吸着するということが分かっています。畳 は自然の空気清浄機浄でもあるのです。
このように、日本の風土に根づいて育まれた畳は、日本の文化として重要だというだけでなく、科学的にもその価値が証明されて きています。フローリングの床もいいですが、畳ならではの良さもぜひ見つめ直していただきたいと思います。家族の健康のため にも、こまめなお掃除、メンテナンス、張り替えを心掛けて、畳を大切に永く利用していただけたらと思います。
畳の弾力性
畳の特徴「弾力性」。生活の安全・安心を守ります。
最近では、フローリングやカーペットの部屋が一般的で、どのハウスメーカーも、快適に暮らせるようなさまざまな機能をうたっていますし、「高気密」や「高断熱」などを売りとしています。暮らしの西洋化が顕著に反映されている現状で、和室はずいぶん減少してしまいました。
しかし、どんなに西洋風の住宅を選ぼうと、「和室や畳コーナーは、どこかに欲しいなあ」と感じている方は多いのではないのでしょ うか。実際に、建売住宅等では、和室が全くない物件よりも、一部屋は和室のある物件の方が人気が高いという話もあります。ま た、「和モダン」のように「和」を取り入れた生活がお洒落に紹介されるようになり、畳への注目も集まっています。
そんな畳の大きな特徴の一つに、「弾力性」があげられます。日本に住む方なら誰でも一度は、畳の上を歩いたことがあると思います。
靴を脱いで畳の上を歩いてみると、どんな感じがするでしょうか?廊下やフローリングとはどんな違いを感じるでしょうか。フロー リングは、夏熱くなっていたり冬には冷たかったり・・・というご経験もあるかと思いますが、畳はそこまで温度変化しません。
この点も大きな特徴ですが、今回取り上げるのは、畳が柔らかさもありながら弾力のある適度な固さを持っている点です。足の裏 に感じる、あの畳特有の弾力はどこから生まれるのでしょう。畳の構造を見てみますと、まず、い草で出来た畳表。い草は細くて長い繊維質の植物で、断面がスポンジ状になっっており、空気をたくさん含んでいます。それを編み込むことによって弾力を生んでいるのです。次に、さらに藁で出来ている芯材の畳床。40センチほどの厚さの藁を5センチほどまでに圧縮して作られています。これが、堅すぎず柔らかすぎない弾力の秘密です。ぎゅっと圧縮させて作ることで、この独特の弾力性や感触が生まれるのです。他の床材ではあまり見かけない、畳の特徴です。そして、この弾力が、日常生活の衝撃を吸収してくれます。転倒したとき等はなどはもちろん、歩くときの膝への負担、膝をついたときの衝撃など、特に小さなお子さんやお年寄りがいるご家庭では、畳によって知らず知らずにケガや事故から守られているのです。 さらに、衝撃とともに、畳は音を吸収します。集合住宅に住む方にとって有効な機能ですし、戸建の一般住宅でも、生活時間帯の 違う二世帯住宅など、2 階で子供が騒いでいて、1 階で落ち着いて過ごせない・・・。なんてお話もよくあります。畳は、上の階 方の生活音が下の階に伝わるのを防いでくれます。
畳床は、藁で作られることが一般的でしたが、現在は藁の入手がだんだん困難になってきたこと、藁の畳床は重くて扱いにくいこと、ダニやカビが発生しやすいことなどから、藁に比べて割安で扱いやすい、チップ製の建材床や、発泡フォームを使った化学床などもあります。素材の違いによって、弾力性や防音性などの機能や効能などはさまざまです。畳本来が持つ、弾力性に優れたものから、抗菌性やファッション性に優れた畳もあります。今まで以上に選択の幅が広がってきていると言えます。畳の購入や張り替えの際には、是非畳床の素材による特性の違いも考慮に入れて、検討をしてみて下さい。
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